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 ndjcトップページ > ndjc2011 > ndjc2011 合評上映会 東京会場 実施報告
2007合評上映会 東京会場実施報告 タイトル
  01 遠山浩司監督作品『そぼろごはん』
  『そぼろごはん』出演の細山田隆人

やました監督 すごく言いにくいのですが、私が全然好きではない、すごく嫌いな女性がいて、脚本を書くときに、講師の先生に「今、一番気になっていることは何?」って訊かれて、その嫌いになっている人だという話をしました。その人の話を物語にしようということになり、そうかと思いながら書いていたのですが、書く度に、「こんな嫌な女、観たくないよ」と言われまして。「この嫌いな人を、いかに愛おしい人にするかっていうことを、ちゃんと考えなさい」と言われて、「なるほど」と思い、いかに私の嫌いな女性を好きな人にするかと考えながらずっと書いていました。どちらかというと、物語ということより、その点を先行して考えていました。
何度か試写室では観たのですが、今日、こんな大きい画面で観て、ちょっと違う感覚がありました。私は、いつもハルの気持ちばかりを描こう描こうとしていたのですが、こんなに大きな画面になると、他の役者の方みんなを見ざるを得ないというか。何か全体の空気感が、より一層濃く見え、宴の雰囲気がよく見えたのではないかなと思います。

つみきみほ 若手育成ということですが、私は全然若手でなく、最初に監督にも「すっぴんさらして大丈夫ですか?」って何度も聞かれたのですが、「大丈夫です」って言いました。この作品が4番目くらいに上映されてくれるともうちょっとゆっくり落ち着いて観られたかなと思うのですが、トップなので、もうドキドキでした。現場では監督に的確な言葉をいただき、とても心強くやらせていただきました。
何でしょう、怖いものがなくなってしまいました。最初に本を読んだ時に、ハルっていう女性に感情移入していきまして、もう後半の方は、「ハル頑張れ、ハル頑張れ」という思いばかりで、監督に初めてお会いした時に、最初から「私はハル頑張れっていう気持ちでここに来ています」って宣言したのです。現場でも「痛い、痛い」と思いながらも、ずっと「頑張れ、頑張れ、頑張れ」って思い続けたら、私自身がハルからエネルギーをもらったような気がしたので、この役をやらせていただけて良かったなと感謝しているぐらいです。ありがとうございました。

奥瀬繁 今日初めて観たので、自分ではよく分かっていないのですが、撮影中もうちょっとおいしいもの食べたかったなと。ほとんど僕は(劇中に出てくる料理を)食べられなかったので、おいしそうだなと思いつつ観ていました。

小田部千夏 今回の撮影は、やました監督の本当に的確な指示で、わりとさくさくと進んだのではないかと思っております。とても楽しく参加させていただきました。ありがとうございます。

安井真理子 私も監督と同じ新人なので、分からないことを何度も何度も監督に質問したのですが、そのたびに優しい笑顔で的確に教えていただいて、リラックスして撮影に臨むことができました。ありがとうございました。

岡田達也 ふだん僕は舞台でお芝居をすることが多いものですから、映像で自分のアップを見ると、どうしても照れくさくて目を伏せてしまうんです。でも今回の映画は、非常に楽しく観させていただきました。撮影の最中に、監督に「もしかして、この主人公のモデルは監督自身ですか?」って聞いたら、「そうではない」という返事をいただいて、ちょっとホッとしました。もし、本人だとしたら、その目の前でこういう役というのもやりにくいものだなと思ったものですから。実際、モデルさんは別にいらっしゃるということだったのですよね。それを聞いて安心して撮影が進みました。

 
  02 浅野晋康監督作品 『きみは僕の未来』
 

七字監督 最初から双子の話は考えていたんです。最初は中学生の双子の話を書いたのですが、講師の先生方に、「この話は大人にした方がいい」と言われて、大人に変えました。
35mmで自分で監督するのは初めてです。もちろん、助監督をやっている時に35mmの映画は何本かやりましたけれど、自分で撮るのは初めてだったので、これはもう良い機会だと思いました。やはり35mmには、カメラの前で正座しながら演出したくなるような重みがあるというか、日本の映画界で、「フィルム1コマでも大切にしろ」と言われて育ったので、無駄に使ってはいけないなと、気が引き締まりました。
これまで僕はバカみたいなコメディばっかり作っていたので、今回は、ちょっと感動させるものを作ってやろうと思って、「こういうこともできるぞ」っていうアピールでもありました。頑張って次の作品に繋がっていければいいなと思っております。

蒼れいな ちょっと悲しい物語ですが、現場は終始明るく楽しくみんなで撮影することができました。
相手役が双子のあんなということで、ずっとそばにいるという意味では、いなくなるということが一番考えられない存在だったので、“感情移入しやすくて、一番しにくい”という不思議な存在でしたね。
監督は、本当にワンシーンワンシーン、違うところは「違う」ってすぐに言ってくれるんですよ。「ここはこうだから、もっとこうした方がいい」とか、そういうことを本当に1回1回言ってくれるところはすごくありがたくて。私、リハーサルで出し切ってしまうところがあったのですが、そういうところも指摘していただいたり。大事なシーンで私が感情移入できず、撮影をストップさせてしまったことがあったのですが、そこでもやはり、なぜこの映画を作ったのかというのを裏で話してくださって、そこで自分を持ちこたえたという時もありました。

蒼あんな 映画の中では妹役を演じさせていただいています。今回はオールアフレコなど初挑戦のことがいっぱいありまして、本当に四苦八苦して作品を終えたのですが、短い撮影期間の中で、ここまで勉強させていただきありがとうございました。
特にれいなの方は、泣くシーンも多く、いろいろ話し合って作り上げてきた部分があるのですが、傍かられいなの役作りを見ていて、私も本当に感情移入してしまいました。私が撮影の合間に、ちょっとウトウトしていた時に、マネージャーが、「れいなさんがちょっとつまづいている、ストップしている」と言うので下に降りていったら、本当にスランプ状態で感情をどうしても乗せることができなくて、撮影が止まっていたんですね。でも、そこでいろいろな方がアドバイスしてくださって、なぜこの映画を作ったのかということや、「こういうことはよくあることだ」とみなさんおっしゃってくださったのです。そこでれいながいろいろなことを感じて撮影に臨んでいる姿を見て、「あ、映画っていうのは、こうやって作っていくものなんだ」と感じられたことが、私にとってすごく大きいものでしたね。

井上肇 最初に監督の台本を読ませていただいた時に、本当に不思議な世界観を感じて、読み終わった後に何とも言えない余韻を感じたんですね。それで今日、初めて作品を観させていただいて、その世界観の余韻が何十倍にも広がった作品になっていて、今とても感動して満足しています。どうもありがとうございました。

『きみは僕の未来』監督の浅野晋康、出演の私市夢太  
 
  01 遠山浩司監督作品『そぼろごはん』
  『そぼろごはん』出演の細山田隆人

中江監督 この作品は、岐阜県の恵那市というところが主な撮影地です。他にもいろいろなところを回ったのですが、プロデューサーの久保田さんが以前その恵那市でお仕事をされたことがあって、ここが一番作品に合っていました。「ああ、ここだったら撮れるのではないか」という気がして選択しました。
現場であまり言わないというのは・・・そうですね、溝口健二スタイルと呼ばれているものです。平成の小津も目指しています。でも、どちらかというと、目指せ成瀬ですね。ゆくゆくは、女の人を描きたいので。いつも恋愛ものを描きたい、描きたいと思うのですが、どうしても家族の話になってしまうんですよね。今回も震災のことがあって、今、家族のこういう問題を描かないと、いつ描くのだろうと思って。今回、応募脚本を提出するに当たって、全然違う恋愛ものを書いていたのですが、提出の3日くらい前に1回捨てて、今のこの問題に立ち向かわないと駄目だろうなって書き換えました。そんなわけで、今回は成瀬にはなれず…ですね。

佐藤貢三 今回、中江さんの共犯者というか、ちょっと片棒を担いでしまいました。ごめんなさい。いつも、映画は監督が一番責任を持って進めていくものだと思っているのですが、完成した作品を観て、今回は一緒にやらせていただいた僕も相当加担しているなということに気づきました。ちょっと気楽に構えていたのですが、そういうわけにはいかないという重責を感じて、ちょっと…帰りたいです。
監督は、ほとんど何もおっしゃらない方なんですよ。もちろん現場では、リクエストはちょっとずつは出るのですが、基本的に「こうしろ、ああしろ」ということは一切ないので、カットがかかった後の周りの雰囲気を探りつつ、という感じでやっていました。

喜多道枝 今、共犯者という言葉が出ていましたが、では私は何だったんだろうと思っております。でも、真面目な話、この親子の問題というのは、決して他人事ではない。いつか自分の身に降りかかってくることだ、ということに気が付きました。
ロケ地が本当に素敵なところでして、使い古された言葉ですが、「この場所は時が緩やかに流れている」という感じのところでした。1つとっても嬉しいことがありました。畑をいじるシーンの後で、手が泥で汚れたので払っていたんです。そうしたら、一人のお年寄りの女性が杖をついて立ち止まって、ニコニコとこっちを見ていらっしゃるんですね。それで、私も思わず会釈をしましたら、「寒いでしょう?」って訊いてくださって、「ええ、寒いですね」って言ったら、「手袋貸しましょうか?」って言ったんですね。「え?」っと思ったのですが、すぐに分かりました。私が手を擦っていたものですから、かじかんだ手をさすっているのだとお思いになったのでしょうね。その方は勘違いしていらっしゃるけれど、実に自然に素直に優しく「手袋貸しましょうか?」という言葉が出てきて、私は本当に嬉しかったんです。私たちが失ってしまった優しさというのが、「あ、こういうところに生きていたのだな」と思って、何か胸に灯がともったように嬉しく思いました。

 
  02 浅野晋康監督作品 『きみは僕の未来』
 

藤澤監督 自分が「おもろうてやがて悲しき」みたいな作品の流れが好きなので、そういうふうになればと思いました。就職活動というポイントに絞ったのは、みなさんもそうだと思うのですが、人生には何かしら選択する時点があって、そこって人生の縮図のようなものが集約されているのではないかと思うのです。その瞬間を描きたいと思って、こういう作品にしてみました。僕自身の体験もいっぱい入っています。僕、40社落ちましたので・・・。
今回、やはり、設計図たる脚本からちゃんとやらなければいけないということを再認識しました。自分はフィルムの作品もテレビドラマの作品もやったことがあります。助監督としてはよくないことですが、「あまり分からないから、誤魔化してしまえ」ということでやってしまう現場もありました。でも、やはり事細かに作って、気合いを入れてやらなければいけないなと思い直しました。周りの方々には本当にわがままを訊いていただいたので、感謝の念しかないですね。みんな、面白くないものは「面白くない」とはっきり言ってくれる人たちだったので、「つまらない、直せ」「はい」、「つまらない、直せ」「はい」とどんどん直していけました。
今、自分のことしか考えないで他人を応援する気のないチアリーダーの話を書こうと思っていまして、取材や調べものをしようとしています。もし藤澤とチアリーダーものをやりたいという方がいらっしゃったら、ぜひ、お声掛けいただければ。

尾上寛之 本当にすごく素敵な作品ができたと思っています。スタッフ、キャスト、本当にみんなの力が合わさったからこそ、こんな素敵な作品ができたと思っています。
僕は就職活動をしたことがなかったのですが、話をしながら、1つ1つ丁寧に演出をしてくださって、顔の表情1つから、動きの1つまで、本当に丁寧にやってくれたんですよ。監督はずっと助監督の頃からやってきて、やはり周りのスタッフも本当に素敵な人たちばかりだったんですね。監督が良いから、集まってくるスタッフの人たちも本当に良くて、信頼してついていこうという気持ちになりました。

小野健斗 今、尾上君も言ったのですが、素敵な作品に出演することができて、本当に良かったなと思っています。自分の映画を観るということで緊張したのですが、本当に楽しかったです。監督には結構自由にやらせていた部分もたくさんあって、でも、ポイントポイントはちゃんとしっかり教えてくださった。ちょっとした笑い方なども教えてくださって、雰囲気を伝えるために、自分でやって見せてくれるんです。そういうところも、すごく勉強になったと思います。

久野雅弘 すごく観ていて楽しい映画で、こんな楽しい映画に出られて、僕も良かったと思っています。ありがとうございます。だいたいのことを二人に言われてしまったのですが、一緒に現場をやらさせてもらってすごく楽しかったので、またぜひ、どこかでお願いします。

『きみは僕の未来』監督の浅野晋康、出演の私市夢太  
 
  01 遠山浩司監督作品『そぼろごはん』
  『そぼろごはん』出演の細山田隆人

谷本監督 私がずっと描きたかった「知的障害者とその家族」というテーマで映画を作る機会を与えてくださったみなさま、スタッフ、キャストのみなさま、そして応援してくださったみなさまに、この場を借りて御礼申し上げます。今回、障害者をリアルに描く、その家族をきちんと伝えるというところに重点を置きました。私自身も障害者を妹に持っているのですが、その私から発信してみなさんに伝えることが、今回の映画の大きな1つのテーマです。30分ではちょっと短いかなという気がしました。まだまだ、もっと深いところまで本当は描きたいと思っています。
助監督を4年半くらいやって、この1年はアシスタントプロデューサーもやらせていただく機会があって、もう6年近くこの業界にいます。やっぱり、また監督をやりたいと今日改めて思いました。監督をするということは、やはり、自分の観たいものを作ることができる、願望なども入れたりできるし、きちんと人に伝えられるものを作れる。人に影響を与えられるという意味で、私はとても魅力的だと思います。この『あかり』という作品は、実は長編の脚本が元ネタとしてあります。その長編の脚本では、もっと家族の深いところとか複雑なところを描いて、きちんとした形でみなさんにお伝えできると思いますので、ぜひその長編の実現に向けて、今後動いていけたらと思っております。

七海薫子 今日初めて完成品を観ました。最後の5作目ということもあって、すごく緊張していたんですけれど、全ての作品ともにフィルムって本当にすごいなと思いました。出演している役者、そして、小道具や部屋に至るまで、そこにリアルに存在していて、上映の間すごくワクワクする発見の連続でした。このような場に立たせていただくだけでも、本当にありがたく思っております。35mmというのは、照明が優しく当たっていて、カメラが優しく見つめてくれるような、本当にこれがフィルムの良さだなと感じました。カメラさんとか照明さん、もちろん監督も、みなさんとっても優しくしてくださいました。

古谷ちさ 今回の作品が、私の初めての映像作品でもありまして、たくさんのスタッフの方や、七海さんや他の出演者の方々に助けていただいて、私もこの場所に居させていただくことができました。初めてづくしで今もとても緊張しているのですが、本当にありがとうございました。
初めて演技する上で、いろいろなことに挑戦しようと思いました。監督の谷本さんにも「自由にしてくれていいよ」と言っていただいたので、ラブホテルのところでは、いろんな感じではしゃがせていただきました。いろいろな施設に行かせていただいたり、障害者の方が運営するお店に行かせていただいたり、映画を観させていただいたりと研究させていただきました。

 
  02 浅野晋康監督作品 『きみは僕の未来』
 

桝井省志スーパーバイザー 本日は、みなさん上映会に参加していただいて、本当にありがとうございます。今年度のプロジェクトでは、70名弱の応募者の中から、夏のワークショップを経て、最終的にこの5名を選出しました。ほとんどの方が11〜12月に撮影して、1月、つい最近まで仕上げをして完成したという作品です。脚本は、水谷俊之監督、脚本家の鈴木智さん、プロデューサーの永井正夫さんにご協力、ご指導をいただいて、ここまで持ってきたものです。各制作プロダクションのみなさま、プロデューサーのみなさまには大変お世話になりました。私たちがある程度整理したものを丸投げしたという状態でして、実際にご苦労をかけて、本当に指導していただいたのは、各作品のプロデューサーのみなさんだと思っております。改めてお礼を申し上げます。
 今年は、結果的に言いますと、みなさん映画監督としては初めてなんですが、それぞれプロとして映像の世界で実績をお持ちです。中江さんはCMディレクターとしてバリバリ活躍していらっしゃる方です。七字さんは、助監督になって、チーフ助監督になってから、なかなか次の人生が踏み出せないという中で、こういうチャンスを得たという方です。藤澤君は現役助監督です。藤澤君が一番若手ですね。東映のアシスタントプロデューサーという肩書を持っている谷本さん。やましたさんは非常に人気のある散歩番組のディレクターをやっていらっしゃいます。それぞれ、映像を生活の糧としながら映画監督を目指されている方々が選ばれたのですが、日本の映画をこれから支えていく方々だろうと改めて思っております。
私どもの力不足もあり、よく分からない作品もあったかもしれませんが、思ったよりは最悪の事態は回避できたかなと思っております。もうちょっと観てみないとよく分からない作品もあって、皆さん途中で帰ってしまうのではないかと冷や冷やしましたが、何とか最後まで観ていただきまして、本当にありがとうございました。実はこういう経験をさせていただいて、一番勉強させていただいているのが我々なのです。今、何を撮らなければいけないのかということを我々も日々模索していて、それぞれの作家のみなさんの考えているものを共有しながら、何とか追体験をしようとやってきました。
この仕事は言われてなんぼです。偉くなってしまうと、誰も何も言わなくなるので、ぜひ、ここでみなさんにビシバシ言いたいことを講評用紙に書いていただいて、この5人がこれから活躍していけばと思います。今日はどうもありがとうございました。

『きみは僕の未来』監督の浅野晋康、出演の私市夢太  
 
 
 

 

 
     
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