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2016.02.01ndjc情報

【レポート】「映画監督のつくり方2016」第1回/吉野耕平監督『エンドローラーズ』編 

1月30日(土)ユーロスペースで トークイベント付上映「映画監督のつくり方2016」第1回/吉野耕平監督『エンドローラーズ』編 が開催されました。ndjc2014完成作品 羽生敏博監督『good-bye』、吉野監督『エンドローラーズ』が上映され、上映後には勝田友巳氏(毎日新聞学芸部記者)、北條誠人氏(ユーロスペース支配人)、吉野耕平監督によるトークショーが行われました。

1月30日(土)21:00開映 
第1回/吉野耕平監督「エンドローラーズ」編 

『good-bye』『エンドローラーズ』の順に作品上映後、監督とゲストによるトークセッションを行います。

◆トークテーマ:「若手監督がメジャーに挑むために」

◆登壇者:勝田友巳(毎日新聞学芸部記者)、北條誠人(ユーロスペース支配人)、吉野耕平監督

◆会場:ユーロスペース

 

(左から)司会、勝田友巳氏(毎日新聞学芸部記者)、北條誠人氏(ユーロスペース支配人)、吉野耕平監督

―きわきわで成立している映画

司会:本日は吉野監督『エンドローラーズ』編ということで、まずは『エンドローラーズ』をご覧になった感想をお聞かせください。

勝田氏(以下勝田):一言で言うと面白かったです。短編作品として30分の中ですごくきちんとまとまっていると思います。あえて言えば30分という枠のなかでまとめているので、それ以上の広がりというところで、ここから長編ができるかというと難しいだろうなとは思いました。ただ総体的にはすごく面白かったです。

北條氏(以下北條):初めてこの作品を観たとき、この映画って、なんだったんだろうな…と、不思議な感じがしたのですが、そのときに偶然居合わせた方が、僕の顔を見るなり「きわきわで成立してるよね」とおっしゃったんです。それで「あ、この感覚だ」と。私は言語化できなかったけれども、「きわきわで成立している映画」なんだと。その言葉を聞いてから、『エンドローラーズ』という作品に対して自分の中で愛おしさみたいなものがわいてきました。きっと、その方が私にそうおっしゃってくれなければ、疑問形のままで終わっていたのではないかと思います。それが私の『エンドローラーズ』に対する感想です。

 

 

―若手監督が商業映画の世界に羽ばたいていくために

司会:本日のトークテーマは<商業映画の世界に羽ばたいていくためには>ということで、吉野監督からお二人への質問をあずかっています。「ご職業柄、数々の映画会社の方とお話をされていると思いますが、2016年現在、メジャー映画会社が若手映画監督に求めているものとは何だと思われますか?そもそも、若手監督は今求められているのでしょうか?」

北條:メジャー映画会社とのお付き合いがあまりないのですが、いわゆるインディペンデントのプロデューサーの方や配給会社と話している時は、冗談半分本気半分で、まずは「予算」を守るということと、次に「納期」を守るということ。これはよく口にされますね。これは制作側の話ですが、映画館側の話をすると、まずは劇場の「スケジュール」を埋めなくてはならない。その次に「売上」を立てなくてはならない。そして三番目でやっと劇場としての「個性」を出す。そういうことになるんです。ですから映画の制作についても、まずは「予算」を守って、次に「納期」を守って、三番目に「個性」きちんと出せばれいいんじゃないかな、と思います。乱暴な言い方ですけど。

勝田:私は、何を作りたいのか、何をみせたいのか、それをしっかりもっている監督の映画を観たいです。監督がもっている強いビジョンをなんとか形にしてやりたい、この監督の描いているものを観てみたい、と思うプロデューサーやお客さんは私も含めていっぱいいると思います。作品を形にして出し続けたり、企画書を送り続けたり、ずっと訴え続けていく、諦めないでずっと続けている中の何人かがポツポツと出てくるのだと思います。毎年新人監督がデビューしますが、メジャーから出てくるのは大体テレビのドラマから引き続き…というのが目立ちます。もうひとつは、PFFなどで監督とプロデューサーがコツコツとやってきたり。あとは本当に個人で続けてきて、どこかの映画祭で注目されたり。コネクションがなければコツコツと諦めないで続けていくしかないと思います。

吉野監督(以下吉野):おっしゃる通りで、「頑張ります」としか言えません(笑)。今は、日々企画を考えたり、形にできるように動いたりしています。普段広告の仕事をしているのですが、それは元の商品があって「これを売りましょう」というものなので、映画の企画を考えるときは何もない状態から、テーマについても「これが売れそうだ」とかそういったことも踏まえて考えなくてはいけなくて、いろんなことが要求されて(映画は)大変だなぁと感じています。

 

 

―エンターテインメントを目指して

吉野:今日お話しをさせていただいて、『エンドローラーズ』が“ぎりぎり映画”というのがすごく印象に残っています。もともと、映画とは何かということを突き詰めて考えてきていなかったので、もっと探さなきゃいけないものがあるのかもしれないと気づかされました。今後長編を作るときには、もっとそこを考えながらできればと思います。

勝田:吉野監督は、これからどんな作品を撮っていきたいですか?

吉野:僕は小さい頃に日曜の昼や夜にテレビでやっていたような映画が好きだったので、エンターテインメントというか、「バック・トゥ・ザ・フューチャ―」みたいなのが撮りたいです。ダメでしょうか(笑)。

勝田:いいと思いますよ。スタートは、何を撮りたいのかをはっきりもっている人が強いと思います。なのでそれに向かって熱を高めていくと、周りにも伝わっていくんじゃないかなと、(仕事で)取材をしていて思います。吉野監督は、技術的にはもうかなり高いところにいると思いますし、映像で語っていくというところはこの作品を観ても十分できていると思うので、あとは「何を語るのか」というところじゃないでしょうか。

吉野:それでいうと、日常の中に変なものが出てくるようなものがずっと好きで。日常に変な宇宙人がいる、というような。そういう違和感みたいなものがうまくエンターテインメントになっている話が好きなので、そういったものをやっていきたいと思っています。

勝田:いいですね。遠慮しないで、突き破るような方向に向かっていってください。楽しみにしています。

北條:エンターテインメントを目指したいという方が夢があっていいですね。期待してます。

吉野:頑張ります。ありがとうございました。

 

 

ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました!

 

★★【レポート】「映画監督のつくり方2016」第2回/羽生敏博監督『good-bye』編はこちら

 

 

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