新着情報

2019.10.24ndjc情報

「90分程度の映画脚本開発」最終選考者、和島香太郎監督に決定!

ndjc2019では10月7日(月)、「90分程度の映画脚本開発」企画プレゼンテーション大会を実施し、このたび最終選考1名を選出しました。

 

*[90分程度の映画脚本開発]
ndjc製作実地研修修了者およびワークショップ参加者を対象に脚本を募集し、一次選考通過者5名による企画プレゼンテーションを開催、その中から最終選考者1名を選出の上、脚本開発を実施するプロジェクト。

 

プレゼン当日は、日本映画製作者連盟4社、日本映画製作者協会の制作プロダクション各社をはじめ多くの映画業界関係者様にご来場いただき、会場は大いに盛り上がりを見せました。

90all

選考委員 右から(香月純一氏、桝井省志氏、根岸吉太郎氏、加藤正人氏)

【一次選考通過者/応募脚本】

三宅美奈子監督(ndjc2007 WS*)  『青い蜂(仮)』
和島香太郎監督(ndjc2008)『梅切らぬバカ』
山下つぼみ監督(ndjc2011)『マルコは死んでいく』
山岡 大祐監督(ndjc2016 WS*)『マイ・スイート・メモリー』
清水 健斗監督(ndjc2018 WS*)『サプライズ』
*WS=ワークショップ参加者

選考委員を中心とした関係者による選考の結果、脚本開発に臨む研修生として、和島香太郎監督が決定しました!


和島香太郎監督(ndjc2008) 『梅切らぬバカ』 

【企画意図】

地域で孤立していた高齢の親子が、近隣住民との交流に希望を見出す物語を描きたい。

昨年、私はあるドキュメンタリー映画の編集に携わった。

主人公は軽度の知的障害と自閉症を伴う初老の男性である。彼は親亡き後に福祉と遠戚の力を借りて一人暮らしをしていた。しかし、近隣住民との交流はほとんどない。近隣住民は、主人公の言動に苦情を申し立てる存在として、時々話題にあがるだけであった。インタビューを申し入れても「一切関わりたくない」という理由で拒否された。

編集を終えた私には心残りがあった。

一つは、孤立する家庭を近隣住民の視点で見つめられなかったことである。障害を抱える人間を自分の日常を脅かす存在と信じ、遠ざけようとする住民たちの心理を知らなければ、そこにある偏見を解きほぐす術について考えることはできないからだ。

もう一つは、障害者の親が子どもの存在を周囲に伏せたがる気持ちについての話を聞けなかったこと(撮影が始まった時点で主人公の母親は亡くなっていた)。その自閉性は「他人には迷惑を書けられない」という日本人特有の気質とも関係しているかもしれない。

これらの心残りを自分の表現の課題として受け止め、孤立する家庭とその近隣住民とが、お互いに歩み寄り、交流を始めていく過程を描きたい。

少し話が逸れるようだが、私自身はてんかんという持病を抱えている。この病に対する社会の偏見は徐々に和らいでいるものの、私の親の世代にとっては親戚にすら言えない問題だった。親は自分亡き後の私の生活を案じ、「早く自分の家族を作って安心させてくれ」という。しかし、単身の人間が増加する現代において、家族を作ることだけが解決の手段とは思えない。多くの当事者が病や障害をオープンにした上で、身近な他者と繋がることを求めている。

高齢の親が中年の子供を養い続ける8050問題。そして、親亡き後に訪れる子どもの自立した生活。その当事者たちもまた、地域に信頼できるコミュニティを求めているはずだ。彼らからのサインを受け止め、ケアしていくことが近隣住民の役割ではないだろうか。

【和島香太郎プロフィール】

wajima

1983年山形県生まれ。
京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科(現・映画学科)卒業。ndjc2008で『第三の肌』を監督。2012年、短編『WAV』がフランス・ドイツ共同放送局 arte「court-circuit」で放送。また短編『小さなユリと 第一章・夕方の三十分』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭短編部門にて奨励賞受賞。
2014年、監督作『禁忌』が新宿武蔵野館で上映。その他、脚本を担当した『欲動』、『マンガ肉と僕』が釜山国際映画祭、東京国際映画祭に出品。
2017年1月より、ネットラジオ『てんかんを聴く ぽつラジオ』(YouTubeとPodcast)を月1で制作・配信している。

 

【選考委員】
根岸吉太郎(映画監督)
加藤正人(脚本家)
桝井省志(プロデューサー)
香月純一(プロデューサー/ ndjc2019スーパーバイザー)

和島香太郎監督は今年度内に、講師による指導、シナリオハンティングも含めて脚本開発を実施いたします!

ndjc2008詳細はこちら

pagetop

Copyright © ndjc All Rights Reserved.